№23 プラネタリウムで観賞する菱田春草:その1

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 長野県の飯田市美術博物館では「菱田春草」展をプラネタリウムで開催しています。日本画の解説をプラネタリウムで行う「企画」に興味を持ち観賞しました。もともと菱田春草は飯田市の生まれで市の小学校に通学し、成人になってから東京美術学校(現在の東京芸大)に入学し、横山大観・下村観山らとともに「あたらしい日本画」に挑戦した画家でした。日本の伝統的な「日本画」」が見捨てられていく明治時代に「岡倉天心」に師事し、新しい日本画の創出に努力した人でした。36歳という若さでこの世を去りましたが多くの作品から今なお人々の心に感動を与えています。短い人生でしたが菱田の良い点は「よき師(岡倉天心など)」に出合い「よき友(横山大観ら)に出合い」そして「夢(新しい日本画の創出)」がそろったことでしょう。

 春草の悲劇は「病気」です・・腎臓病と失明にいたる病気は彼の最大の試練でした。おさない子供を抱えた妻に「生活の心配」をかけまいと苦労する姿は今も胸を打ちます。どんな時代でも「病気」が一番怖いものだし、生活苦もまた心配ごとです。「師・友人・夢」の充実した人生の裏腹に病気という魔の手は春草のアキレス腱でした。時代が変わっても人間は変わらないようです。短い人生でしたが「いい仕事」をできた春草は「半分幸せ」そして「半分は無念」であったことでしょう。プラネタリウムという特殊な観賞方法でしたがうまくまとまっていました。

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