№21 大陸の雰囲気を感じるお寺(京都 萬福寺)

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 京都観光はどこでも「人ごみ」を覚悟しないといけないのですが、珍しく「ゆったりできるお寺」があります。その伽藍配置や境内の雰囲気・内部の仏像まで「普通のお寺とは違う空気」をすぐに感じます。「山門を 出れば日本ぞ 茶摘み唄」萬福寺の門の傍らには江戸時代の俳人である「菊舎尼(きくしゃに)」が詠んだ俳句が記された立て札がひっそりと掲げられています。門を出ると、茶摘み唄が聞こえてきて「ここは日本であった・・・。」と我に返る瞬間です。そうです・・このお寺は「大陸の雰囲気」を感じる珍しいお寺です。

 1654年(江戸時代)、中国福建省から渡来された隠元禅師が後水尾法皇や徳川四代将軍家綱公の尊崇を得て、1661年に開創された寺院であり、日本三禅宗(臨済・曹洞・黄檗)の一つ、黄檗宗の大本山です。関東では珍しいのであまり聞くことが少ない「黄檗宗」ですが由緒ある素晴らしいお寺です。

 黄檗宗では、儀式作法は明代に制定された仏教儀式で行われ、毎日誦まれるお経は黄檗唐韻で発音し、中国明代そのままの法式梵唄を継承しています。

 建造物は、中国の明朝様式を取り入れた伽藍配置です。創建当初の姿そのままを今日に伝える寺院は、日本では他に例がなく、代表的な禅宗伽藍建築群として、主要建物二十三棟、回廊、額、聯などが国の重要文化財に指定されています。中国から伝わった仏教様式ですが奈良に伝わった「唐寺」様式とは少し違うようです。戦争にも会わなかったので「創建当時」の雰囲気を保っているのはすばらしいことです。京都では清水寺や金閣など高名なお寺を散策する機会が多いとは思いますが、「大陸の風」を感じる萬福寺も訪れるのはお勧めです。

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